アバター(ネタバレあり)

chef72010-01-31


言い訳ですが、カーチャンにつきあわされて「アバター」を見ました。

なんだか「ナウシカ」、「ラピュタ」+「エメラルド・フォレスト」みたいな。。。。エメラルド・フォレストって今の若い人知らんつーの。

とにかく、デジャヴ感ありまくりの今更な話に、マイケル・ベイ並みのおおざっぱな演出。垂れ流しの音楽に、心象風景のほとんどないスピーディーすぎる展開は、「タイタニック」をも超えるB級テイスト。

結局のところキャメロン監督は、ストーリーよりも映像スペクタクルを見せたかったのだろうと思う。戦争映画で常々思うのだが、視点をマクロな俯瞰にすると逆に命の尊さが薄れてしまい、悲しみや憤りは死体数の総量に反比例してしまうことが虚しい。

ストーリーのツッコミどころはこの際置いといて。端的にショボかったのは悪を一身に背負った大佐のキャラ造形。マグカップ片手に指揮を執り、機体の隊列組むとこなど「地獄の黙示録」のキルゴアぽかったが、彼の思想の背景が一切描かれておらず、最後にはやっぱターミネーターに落とし込まれる予定調和ぶりに萎えた。対する反乱軍では、おいしい脇役ミシェル・ロドリゲスのまんま「LOST」なタンクトップ野郎ぶりにも笑えた。

反戦や文明批判・エコ思想も上っ面だけなこの映画の一番ダメなところは、結局抗争の解決手段が武力になってしまっていることと、生命の神秘や尊さが戦いのダイナミズムに飲み込まれてしまっていること。そして、そういう矛盾を孕んだ人間の業が描かれていないこと。

ラストのお気楽なハッピーエンドに笑えなくなって、いつものように帰りの車中でカーチャンに悪態ついたら、案の定カーチャンは普通に満足したご様子で、ワシの例によってのナニサマな物言いを完全無視。

てゆーか、彼女は3D酔いにはまって帰宅後速攻でトイレに駆け込み。いつものバトルができずに拍子抜けでした。映画に対する感性はあらびきなのに、三半器官はごっつ繊細なんですよね。ホント噛み合わんわ。。。

それはともかく、キャメロン監督には広島・長崎原爆の映画化構想もあるそうだが、本気でやめて欲しいと思います。(☆2つ)