グラン・トリノ(ネタバレあり)


予告編見ただけでウルッときてたので、本編では号泣オエツもんでした。
というか、ストーリーよりも老境著しいイーストウッドの動きのおじいちゃんぶりが悲しかったのです。久しぶりに自分の親と会ったときに感じるショックと同様に、確実に「最期」が迫っているのを痛感させられるのは辛いものがあります。
それでも、相変わらずのゴリゴリ保守な立ち位置はブレることなく、少数民族のヘタレ青年タオとの邂逅も常に上から目線。最後の落とし前のつけ方こそ「目には目を」ではありませんでしたが、人生の締めくくり方に悩んでいたウォルトにとっては絶好の機会です。自殺してもおかしくない被害を受けたタオの姉と、彼女を守れなかった心の傷を一生背負っていくタオに比べて、あまりに独善的な立ち回りと言えなくもない。。。。
よそでも書かれてましたが、倒れたウォルトをカメラが引いて俯瞰すると十字架みたいに見えるんですよね。こっちの勘ぐりかもしれんけど。
そんなこんなで、ラストアメリカンヒーローのウォルトよりもタオに感情移入してしまったんです。
だから、「古き良きアメリカ」=グラン・トリノをタオに継承させる度量の大きさを見せつつも、海辺をグラン・トリノで走るラストの清々しい演出は、自分の目にはあまりに場違いに映りました。
ウォルトの描写ばかりでタオの心情を端折ったことや、珍しく若僧神父をまっとうなキャラにしてカトリックに歩みよったりなど、らしくないバランスの欠如もあり、映画的な醍醐味としては「チェンジリング」の方が数段上でした。
まぁ、そんな粗探しよりも、イーストウッドの遺言状のような映画だったので、とにかくそれが寂しくせつなかったです。泣けました。
(☆4つ)