インサイド・マン


久しぶりに高島町行ったら珍しく混んでいて前から3列目の席になっちゃった。初日(10日に見た)とはいえ、地味な映画だからヒットするわけないと踏んでいたのだが・・。
反面教師ぽく参照してる「前田有一の超映画批評」では大絶賛。それだけでなく、「粉川哲夫「シネマノート」でも誉めていたのだが、ちょっとガッカリ。
確かに飽きさせずに謎解きを持続させて楽しませてくれたけど、本来、秘密を抱えた銀行家・クリスファー・プラマーとそれを暴こうとする犯人・クライブ・オーウェンの対決を軸にストーリーを展開すれば重厚な人間ドラマにも成り得たものを、頭が切れて伊達男なデンゼル・ワシントンを主役に据えちゃったもんだから、スタイリッシュな駆け引きが全面に押し出されてなんだか軽い余韻しか残らない。いや、もともとそういう映画だからいいのか?
こだわりのニューヨークのロケで、人種偏見をチクリとやったりスパイク・リーらしさはそこそこあるものの、「25時」で展開されたような熱い人間ドラマにはほど遠かった。
クライブ・オーウェンの動機を解き明かす父親の回顧シーンや、銀行家の過去を遡る再現ドラマを期待していたが、セリフでチョロっと端折るだけ。
一緒に見ていたカーチャンにも人間ドラマが足りな過ぎると文句言ったが、「あのね、もともとそーいう映画じゃないから。」と一蹴されて終わり。そんなもんです。(☆3つ)