四月の雪

韓国の不倫ものは「情事」や「密愛」を見たのだが、ホ・ジノはまったく別物を作っていたと思う。
家族・会社・周囲の冷たい目→セックスにのめりこむ→破滅という図式に当てはまらない。
原題は「四月の雪」ではなく「外出」。状況は間違いなく不倫であるが、倫理観を問うよりは非日常のなかでの二人のリアクション合戦を優しさや癒しの目線で追っていったかんじ。
だからマジにストーリーを追って結末を求めると行き詰ってしまう。カットの繋ぎも大胆にジャンプしていくのでメイクラブまでの過程が性急に思えるし二度目のベッドシーンも唐突に始まっちゃう。しかし編集のミスなどではなく監督の意図したものなのだろう。
ほとんどセリフを固めずに即興でやらせたらしいが、ペ・ヨンジュンソン・イェジンががっぷり四つになってはおらず、ヨン様というスターのおかげでホ・ジノペ・ヨンジュンのタッグマッチになった趣。
スタンスの違いからかほとんど噛み合う感じが見られない二人だが、逆に即興を突き詰めるなかで演技というより本人そのものが露出してる感があり、“スター”を背負っちゃってる上にどこまでもノーブルなマジメさだけが滲み出てつまらないヨン様に対し、ソン・イェジンは一見おとなしく従順そうでいながら車を止めてとかビールくれとか要求するし、髪を乾かすしぐさに女の強さが垣間見れて魅力的だった。繊細さと意志の強さを併せ持っている。もっと押しの強いキャラの役を見てみたい。細身なのに胸の谷間が意外にあって何度も寄りの画で目立つ。どうせなら気前良く脱いで欲しかったが韓国だけに豊胸疑惑もあるなぁ。
片やヨン様は筋肉写真集の名残りで腹筋は見事に割れてるし背中が逆三角形の色黒マッチョ。あれは違和感アリアリ。
不可解なストーリーの流れだったが場面ごとの緊張感は並々ならぬものがあり、睡眠不足のなかでもずっと画面に惹きつけられた。監督の意図したものが少しでも理解できればもっと楽しめたのだろうが・・。
エンドロールの静謐な美しさはバラードの出来栄えも含めて韓国の独壇場ですね。(☆3.5))