甘い人生(ネタバレあり)


(HP)
ビョン様の長編主演作見るのは初めて。これがポスターとかチラシの雰囲気そのままのノワールな苦さ。タイトルからしていいかんじです。
「反則王」、「箪笥」の監督で陰影の効いたスタイリッシュな映像がムードばりばり。ちょっとエレクトロニカ入った繊細でアンニュイな音楽がときおり流れてこれも素晴らしい。でも最後のクライマックスで必殺仕置人東映やくざ映画みたいになっちゃうんだよね。あれは困った。
オープニングで、そよぐ柳の葉なんかの画で師弟のやりとりがナレーションされるのもワクワクしました。終盤の悲しい結末へ向けての布石もバッチリ。
ただ、ぶっちゃけこの話ってボスと幹部が若い女を取り合うだけで、ちょっと情けない話。ヒロインがそこまで価値のある女に見えないし、終盤に絡んでこないからなおさら納得いかない。ビョン様不死身の強さなんだけど、もっと冷血で感情のない男の設定でそれが愛に目覚めて最後は彼女を助けて死んでいくみたいな、あるいは非情にも彼をかばって死んでいった彼女を抱きかかえるラストとか。そんな妄想抱いて泣く準備してたのにちょっと違ってた。
ラストの対決も、ちょっぴり師弟愛を想起させる含みがあるんだけど、ボスはしたたかで腹黒い感じはあってもビョン様が人生捧げてついて行くようなカリスマが感じられなかった。全編通じてスタイリッシュな雰囲気は文句なしだけど、それにドラマがいまいちついていけてない。
この映画も暴力描写がけっこうハードでございます。おもわず目をそむけてしまうシーンがございました。帽子にメガネの殺し屋ムソンはなんと「マラソン」のあのグータラコーチらしい。まったくわかんなかった。ついでにヒロインは「火山高」のヒロインらしいけど覚えてないッス。
終始二の線なビョン様だったが、やはり決め手になったのはあの人なつこい笑顔。クールな役よりは「JSA」でやったような庶民的でちょいボケはいった役の方がいいと思う。顔が間延びしていていまいちイケメンぽくないんだよね。(☆4つ)