Ray レイ

Ray


(HP)
ほとんどレイ・チャールズのこと知らなかったので興味深く観れた。好々爺に見えても若い頃はヤリチンだったのね。あんなに売れてた人とは知らなかった。盲目なのにショービジネスの世界で成功するんだから実際はかなりしたたかな銭ゲバなんだろう。本人も製作に絡んでいるのか、内容は結構きわどいながらも曲は売れまくるしドラッグは克服するし、最後はきれいにまとめている。でもジャンキーで愛人作ってるリッチマンなんですよ。やっぱり芸の肥やしといいますか、十分に納得できるんですけど、幼少時代のエピソードとは全く噛みあってこない。盲人だからこそ人に頼らずに自立しなければ貧しさを克服できないと厳しくしつけた母親の教えや弟を死なせたトラウマが大人になってからの人格に生かされていないかんじ。もっと彼の心の奥底を覗かせて欲しかった。
久々テイラー・ハックフォードの演出は、幼少時と現代を交互に織り込んで演奏シーンでは代表曲をうまく挟みつつスピーディーに展開。2時間越える長丁場でも飽きさせなかった。とにかくジェイミー・フォックスのハマリ方がハンパない。ピアノ全部自分で弾いてるらしいし、独特な動きもそっくり。エンドクレジットでperformed by Jamie Foxxって曲がいくつかあったし。それでも皮肉なことに一番感動したシーンは幻想シーンで母親相手に目を開けて涙したとこだったんだけど。
あと子役がすごくかわいいというかうまいというか。泣かされました。
でもヒューマンなストーリーより良かったのはむせかえるような黒人音楽の暑苦しさとでもいいましょうか。「Georgia on my mind」みたいなストリングスバックの曲よりピアノ弾き語りが彼の歌が浮かび上がってとっても良かった。増感したような濃い目の色調も合っていたと思う。
イヤだったのは、レイをはじめとしてバンドメンバーはもちろんナイトクラブの客とか皆がタバコ吸いまくりだったこと。レイのピアノの上には必ず吸いさしのタバコが煙を上げている。あれ見てるだけで気分がわるくなる。実際本人もWOWOWでやってた「ピアノ・ブルース」のときも咳き込んでいるジジイなのにタバコ離さなかった。麻薬だと逮捕されて更生施設送りなのにタバコは野放しなのはなんで?どっちも害があって辞められないのはおんなじじゃん。自分の周りでタバコやめた奴見たことない。(☆3.5)