25時

25時


涙が止まらなかった。

現代版アメリカン・グラフィティみたいな、
ベタな人情ものとも言えるのだが、
登場人物たちの熱い想いを絡ませながらも、NYの、アメリカ社会の重い現実も同時に叩きつけてくる。

スパイク・リーにしては意外に引いて醒めた目線。
主人公はアイリッシュだし、仲間も雑多な人種。
ラストももろ白なブルース・スプリングスティーンで締める。
また一段高みに昇ったかんじ。

さすがはノートン出演作だが、彼よりも周りのうまさが目についた。
特にバリー・ペッパーノートンを食うカッコ良さ)とホフマン(独壇場のペーソス!)がそれぞれ持ち味存分に発揮。

(ネタバレ!)
ラストでさわやかな感傷に落とさずに現実に引き戻したのも良かった。
あそこは、絶望とも希望ともとれるけど、僕は両方いっぺんに押し寄せてきて、またあとで涙がこみあげてきちゃった。

冷静に考えると、ドラッグディーラーとして彼が犯した罪の重さは棚上げされたままだし、「ファック・ビンラディン」から9.11に繋がる歪んだナショナリズムも見受けられるんだけど。

結局、自分に人生では今までもこれからもありえないような悲しく熱い友情・愛情への憧れがツボにはまっちゃったのかな。
早くも「ドッグヴィル」を超えるやつが出ました。
地味な佳作だけど。
(☆5つ)

追記・同じように川や街の情景を盛り込んだ「ミスティック・リバー」との比較がおもしろい。
ボストンとニューヨーク。街のポジションも好対照。
あっちは3人の友情絡めずに突き放した目線。クリント・イーストウッドの枯れた大人ぶりと、MSGの最前列でニックスを応援するスパイク・リーの温度差が出たかんじかな。