キプールの記憶

キプールの記憶


アメリカ帝国の属国と化した日本でのうのうと映画見てる自分の構図がすごく虚ろな気分。

長回しを延々やられてるうち、ドキュメント風な演出がだんだんと鼻についてきてしまった。
ぬかるみで泥だらけになり、意志を吸い取られていく長回しシーンは効きました。こっちも死にたくなるようなうつ状態に。

どこまでリアルだろうと、戦場に行かない限りは疑似体験でしかない。
虚ろな気分には充分させてくれたが、悲惨とか無慈悲とか不条理とかにはかなり不感症になってしまった。そのことの方が悲しい。

終わりのない中東戦争を体験した監督らしい、後方部隊の救護班という視点もうなずけるものの、こぎれいな映画館や家のソファーに寝そべって戦争映画やイラク派兵のニュースを見てるダメな日本人の私としては、リアルな戦争ものも失礼ながら食傷気味。

博士の異常な愛情・・・」じゃないけど、戦争のシステムに突っ込んだ映画がそろそろ出てきて欲しいと思いました。
(☆3つ)