アメリカン・ギャングスター(ネタばれあり)

リドリー・スコットにしてはゴツゴツと粗くスピーディーに畳み掛ける映像で面白かったんですが、実話に基づいているとはいえ、最後のところを端折ってるのはガッカリしました。というか、ラッセル・クロウデンゼル・ワシントンがベクトルがずれていてリアルガチンコじゃないんですよ。よく「フレンチコネクション」とかの、大物を狙う執念捜査ものが引き合いに出されるようですが、私はやっぱりマイケル・マンの「ヒート」あたりと比べてしまうんです。
リドリー・スコットもいちおうそれぞれの家族の描写もしてるんだけど、まだ足りない。それぞれ孤高を強調したあげく、高みに登った人間だけが分かり合えるガチンコ勝負を展開して欲しかった。妻にはまたしても「そーゆー映画じゃないから。」と一刀両断にされましたが。
そんな文句はともかく、予想外だったのはブラックムービーさながらの顔ぶれの豪華さ。この前「スモーキン・エース」見たばかりのコモン、「フォー・ブラザーズ」の悪役が記憶に新しいキウェテル・エジフォー、とにかくビックリのRza、あとでわかったT.I.、ステージシーンではアンソニー・ハミルトンまで見せてくれました。予備知識無しに観に行ったのでうれしい誤算でございました。
あとラッセル・クロウの相棒デカのJohn Ortiz。「マイアミ・バイス」の敵組織の黒ブチメガネ幹部だった。えらい化けますなぁ。化けると言えばジョー・モートンの白髪交じりヒゲには笑いました。
それからけっこうオーラ出してたジュシュ・ブローリン。この後、公開予定のコーエン兄弟の「ノー・カントリー」が楽しみです。
サントラもRzaかと思ったら、どっこい生きてたハンク・ショックリー。デンゼルの出所シーンではまさしく「Public Enemy」でした。
(☆3つ)