それでもボクはやってない


金曜の夜最終回だったのでかなり眠かったはずだが、143分を感じさせない面白さ。エンタテインメントとしてもちゃんと成立させたのはすごいけど、周防監督の今までの作風からするとプロパガンダ臭が目立つ。個人的にも司法制度に対してかなりイチャモンがあるんでしょうね。これが商業映画として公開されたことはちょっと驚き。製作段階で圧力かからなかったのかな?

ちょっと前に「ゆれる」で裁判シーン見てたし、今日は志布志の県議選買収事件の無罪判決もあったのでなかなかタイムリー。ただ、志布志の方は裁判制度というより自白強要した捜査方法が争点だと思うが、映画ではかなりアマアマで調書の改ざんはあるものの暴力行為は無かったし言葉の暴力だってまだ甘い。リアリティを追求した結果、逆にそうしたのかな。やっぱり圧力?これが拷問やってたり、冤罪で死刑だったりしたら国家権力だって当然黙ってないよね。

前半は、本田博太郎(小躍りしたくなるおかしさ!)や竹中直人で笑わせてくれたが後半はマジモード。裁判シーンでの細かいディテール描写とリアクション芝居の見せ方は絶品でした。演技合戦的な見せ場も多くて、加瀬君のうまさには唸ったけど特にしびれたのは小日向さん。画面に金縛りになった。それに喋ってないところのリアクションカットの抜き方も鳥肌モンでした。こういう醜悪なキャラにこそ助演男優賞あげるべきでしょ。

ただ、弁護側は苦悩したりしてちょっと人間ドラマになってるけど、あっち側はいわゆる紋切型のキャラでいっさいブレがないのがつまらない。プロパガンダ映画だから当然か・・。


ラッシュアワー時の「女性専用列車」は腹立たしい。男はみな痴漢かよ!と言いたい。幸い湘南新宿ライン横須賀線はあまり混まないし、最近は朝はほとんどグリーン車。それでも万一間違えられて被告人席でガサ入れされたエロ動画ファイルのタイトル言わされたらどうしよう。ボクの場合、キーワードは「痴漢」とか「制服」とかではなくて「熟女」とか「巨乳」です。
(☆5つ)