あるいは裏切りという名の犬(ネタバレあり!)


銀座テアトルシネマは水曜日1,000円だったのね。7時にやっと着いたらすでに満員寸前。最後から3人目あたりでもちろん最前列。でもイスの背もたれが高いので首が痛くならずに見れた。
主演二人のがっぷり四つの演技合戦を期待したが、なんか一方的な復讐劇になっちゃった。必殺仕置人かよとか思ってると、卑劣極悪野郎のジェラール・ドパルデューが逆ギレ!でもなんか共感できたりする。
サル山のボスになったらナンバー2は排除して群れの上下関係を安定させなければ。だからやり口はヒドイけど理にかなってると思う。
片やダニエル・オートゥイユは権力に興味が無く、争いを避けた。だがサル山においてはそれはボスへの絶対服従か群れからの離脱だろう。
警察という官僚組織を権力争いのサル山だという自覚がないレオ・ヴリンクスは正義と悲劇のヒーローではあるが、サル山原理に則って真っ向勝負しなかった噛み合わなさが見てるこっちにも苛立ちを与えた。どんな卑劣な手を使おうと俺は戦って勝ったんだ。負けたオマエが何を奇麗事ほざいてるんだと。
振り返ると自分の人生も常に勝負の連続なはずなのに、土俵に上がることもなくサル山から離脱してばっかりな気がする。汚い手を使っても勝ち組になってサル山のてっぺんから下界を見渡してみたいもんですよ。
話が映画から逸れたが、やっぱり毎度のごとく思うけど、二人が袂を分かつきっかけになった過去の事件のフラッシュバックとかが足りない。ドバルデューのドニ・クラン側の描写が足りないですよ。
フランス独特のノワールな雰囲気はあるものの、意外にベタベタな音楽とかハリウッド顔負けの銃撃SEとか、やっぱりグローバル化してるんじゃないの?って思った。(☆3.5)