クジラの島の少女

Whale Rider


ファンタジックな手のひらサイズの温かい映画だった。 伝統継承と人情をうまく繋げて清々しい仕上がり。

やはり孫娘と祖父の二人の演技だけで十分惹きつけられた。島の豊かな自然が垣間見えるのも良かった。

ただ細かいこと言うと、前半活き活きしていた孫娘が後半はどんどん鬱々した感じになり、知性や感性はあってもリーダーとなる統率力やパワーが感じられなかったのが残念。絶えず祖父の顔色見てイジイジしてるかんじ。リーダー不在で存続の危機に立たされている窮状ではいかにも頼りない。棒術なんか全然強そうに見えないし。学校で男勝りに皆を率いて遊ぶとことか、もっとヤンチャな部分を入れて欲しかった。

それと、終盤の強引なファンタジーだけど、これも説明不足で、前半でクジラや海とマオリ族との繋がり・言い伝えを洋上での孫子の語らいなどで入れておくべきだったと思う。ラストは長男夫婦も戻って八方丸く収まるハッピーエンドだったけど、とにかく陽光あふれる海に船出していく絵がいままでの欝な空気を吹き飛ばしてくれたので良しとします。

いつもハリウッド映画では凶悪犯やテロリストのイメージだったクリフ・カーティスが、今回はすっかりなじんで温かみのある演技を見せ、居心地よさげだったのが印象的。
(☆3.5)