エレファント

Elephant


マイケル・ムーアの扇情的な演出とは対極にあるような冷徹さ。

雲が流れる空の景色で場内が無常観で満たされる。

タイトルの由来もすごいのだが、フレームを切り詰めた画面サイズにも驚く。 フレームの中に見えるもの、外にあって見えないもの。 認識できるものと、それ以外にも厳然と横たわる事象の存在を否が上にも意識させる。 わざとフレームアウトする射殺シーンには鳥肌が立った。

視点を切り替えた反復など、自分が幽体離脱してこの世を眺めているような客観視の極北に追いやられる。だが、スタイルを突き詰めるほどに落とし穴にはまっている気もした。ナチやベートーベンなど余計なものを挟んだり、二人の射殺犯(特にシャワーシーン)への視線などは時として監督の情感がにじみ出てしまっている。

それにしても神の視点を得たような描写はショッキングだった。諸行無常とはこういうことなのだろうか?
(☆4.5)
参考にさせてもらったレビュウ<映画≠日誌>