キャシャーン(CASSHERN)

casshern


ひとりよがり、自分勝手大いに結構。
「鉄男」まったくダメだった私が言うのもナンですが、今回は監督の偏り加減を気持ち良く味わった。ゴリ押しの連続には疲れたけど。多分、画造りのカッコ良さに騙されただけなのかも。
この前見た「ビッグ・フィッシュ」がティム・バートンぽくないカドの取れた映画だったので、こっちの尖り具合がなおさら際立った。
オープニング直後に二人のバイク疾走シーンで「結婚しよう」とか言われていきなり脱力。なんじゃこのつなぎは?
場面転換が唐突かと思うと延々と状況説明のセリフがあったり、緩急のない一辺倒なテンションの高さなどいろいろ困った映画だけど、映像のケレン味がそれを上回る面白さ。悪評だらけで覚悟していたし、予告編に痺れたので映像だけに割り切って観たのが良かったのかも。何か新しいものを見たワクワクがあった。
ただ、楽しかったのは主に前半で、後半は絶叫のインフレにも疲れてきて、闘いながらの禅問答や、ラブ&ピースなユートピア幻想をチラつかせながらも安直なイデオン発動的終末観にため息。大風呂敷広げてもやっぱそこに行くのね。反戦や人間愛を謳っても一番カッコイイのは屈折した怒りがスパークする戦闘シーン「殺し合い」なのは皮肉だ。
ストーリーは破綻してるし、映画じゃないPVのつなぎだと言われても否定できないけど、監督の表現パワーがビンビン感じられたのはなんだか愉快だった。(☆3.5)

麻生久美子、全然萌えない。ああいう守られるだけのヒロインはやめて欲しい。監督の女性観が反映されてるとしたら残念。出番少なかったけど闘う女・佐田真由美の方がよかった。