ザ・インタープリター(ネタバレあり)

ザ・インタープリター


(HP)
ニコール・キッドマンショーン・ペンの対マン対決ということで、「白いカラス」+「21グラム」みたいな哀切な人間ドラマを期待したわけです。ネガティブ中年男としては。
序盤の二人の最初のやり取りは緊張感にあふれてなかなか良かった。二人の会話シーンは音楽抜きになって顔のアップの連続だけで十分魅せる。ニコール・キッドマンがお人形のような美しさ。ここ数年でも出色のクールビューティーぶり。でもね、その美しさが役柄とかみ合わないのよ。アフリカの○○○○なんて対極のキャラじゃないのよー。
中盤からはサスペンス要素が強くなり、アクション的なカメラワークと話の展開ですっかり娯楽映画になっちゃった。シドニー・ポラックはかなりの爺さんのはずだが、ヘリの空撮や人物のキメのショット、中盤の爆発シーンなど、イマドキ風な画づくりを見せる。まぁ、撮影は別の人だし、編集も別の人だしね。
心に傷を持った二人の苦悩と邂逅を静かに綴って欲しかったのだが、そんなことはおかまいなしにグイグイと展開。謎解きサスペンスのためにキッドマンなんか終盤はしばらく画面から消えちゃうし。互いの背負った過去についてもサラッと流すだけ、ショーン・ペンなんかいっさいの映像なしで「妻を事故で亡くしたんだ。グスン・・」とか言うもんだからリアリティ薄くて胸に迫ってこないじゃん。社会派監督の映画としても薄いなぁ。
ラストの爽やか風な終わり方もきれいごと。だいたいセックスしてないのよ、この二人。一晩くっついてソファで寝て、それで終わりかい!ありえねー!(いや、自分はそゆことよくあるけど)
たぶんこれは娯楽映画でいいんでしょう。そうゆう苦い映画を求めるなら「ミリオンダラー・ベイビー」に行くべきだったのだ。でも時間が合わなかったのだ。ガクン。(☆3つ)