ニュースの天才

Shattered Glass


(HP)
主人公グラスのナレーションで始まりつつも、彼の虚構が暴かれる段に至っては新編集長の行動がメインになったりしてカメラが追うものが変わってしまうので主題がはっきりしない。グラスの記事が事実だったかどうかスリリングに引っ張ってくれるのだが、その落としどころが明確に伝わってこない。上映時間が短くてグラスの人格的なバックボーンにまで言及されていないし。せっかくラストでひっくり返してくれても彼の心の奥底はわからないまま。

ジャーナリズムの内幕としては面白くて、事実かどうかより読者の求めるものが記事として正解になってしまうというのはある意味的を得ていると思うのだが、彼のキャラが根っからの天才的な大ボラ吹きなのかプレッシャーからそうなったのか、サスペンス要素を盛り込んだ分掘り下げられなかったのがもどかしい。

ジャーナリズムの本質に迫るのか、彼の心の闇を解き明かすのか、そのどちらも物足りない。

ヘイデン・クリステンセンはうまかったと思うけど、中途半端な嘘つきの自分には嘘を繕うためにまた嘘をつく負のループが痛かった。(☆3つ)