イン・ディス・ワールド

in this world


ASIN:B0001WGLZ0
時系列バラバラに見ているマイケル・ウィンターボトム。「ウェルカム・トゥ・サラエボ」では、ハリウッドスターたちも出ていたのでドキュメンタリーのような作風が嫌味に感じられたが、これは違和感なかった。というか、さらに「ドキュメンタリー風」を進化させている。
淡々とハンドカメラで追いながらも、かなりのスピードで旅をダイジェストしてる。ひとつひとつのエピソードを丹念に追わずに上澄みを掬い出していくかんじ。フォーカスわざとぼかしたり光の滲む映像を挟んだりと、イメージの断片を集積していくようなトリップ感覚があった。異国情緒どころではない異世界に迷い込んだ怖さがある。
ぎりぎりのところで感傷に流れずに踏ん張っているとこも良かった。
本当に、自分のいるところと世界は繋がっているんだろうか、と思ってしまう。でも未来に希望が持てないのはこっちも同じな気がする。(☆4つ)