ヴィレッジ

The Village


(HP)
(ネタバレあります!)
今回はやっと復活しましたね、シャマラン監督。ネタは「モロパク」らしいですけど、僕は知らないし(昔ブラッドベリは読んでるはずだけど全然憶えていない・・)面白いからいいです。
アイヴィー役の、ロン・ハワードさんの娘が当たりました。来日会見とか見ると普通のネーチャンなのに映画での役作りが抜群。それから撮影が「ファーゴ」とかやってる人で、最近だと「白いカラス」そのまんまな静謐な雰囲気が素晴らしかった。
今回はカメラワークとかカット割りとかに凝ったところは見受けられなくて、あくまで地道にストーリーで引っ張っていくかんじ。愛による自己犠牲と勇気が禁断を乗り越えるというようなまっとうな筋がありながらも、横では様々な示唆に富んでいて、例によって台詞やアイテムが伏線となって雪崩のようにテーマを突きつけられるのが堪らない。
アイヴィーがケビンと出会うところは、「ボウリング・フォー・コロンバイン」のアニメによる白人と原住民との出会いを思い出してしまった。いわゆる異文化同士の遭遇なのだが、そこでは衝突は起こらずに互いを理解し、信頼が生まれる。すごく感動的だった。ただ、ここでも森林警備隊の名前も「ウォーカー」だったり、<その後>のケビンの様子がヘンだったり、シャマラン所長の意味深な発言があったりと、細かいナゾだらけ。
だいたいにして上映後にナゾ解きのチラシ配ったり、ホームページで解説したりして、それでやっと合点がいくくらいで、1回見ただけでは自分の頭の悪さも手伝ってようわからん。いちおう拡大ロードショーされる大衆娯楽映画なら敷居を低くしてくれないと。というか基本的に説明不足。ラストのあっけなさも不満だったし、もう一人の主役になるべき父親ウィリアム・ハートの<過去>に関する回想シーンもない。ドンデン返しのために描写を抑えた部分もあるだろうけど、セリフや小道具のチョロ出し(川面に映る影の色まで憶えてないって!)ではなく、ストーリーの流れの中でしっかりしたお芝居で見せて欲しいんです、僕は。
いまだにわからないのはダニエル・ニコルソンの死の真相。あとシャマラン所長が読んでた新聞の見出しに<M○○○ OF 7 YEARS OLD FOUND AFTER THREE DAYS MISSING>みたいなことが書いてあって担架で誰かが運ばれてる写真。ルシアスのことなのかダニエルのことなのかわかんない!
今回で痛感したけど、シャマラン監督と僕の間にはけっこうな「バカの壁」が立ちはだかっているみたい。今回は前作までのケレン味あるドンデン返し(これが苦手)ではないのでまだ良かったけど、それでも常に芯を捕らえられないもどかしさがある。ヒット作連発の監督だけど意外に自分も含めて引き湯や沸かし返しの温泉に浸かってる観客ばっかで、源泉にゆったり浸かってる人はほんのわずかな感じがする。悔しい。
とりあえずもう1回は見たいと思わせる憎らしい映画でございました。(☆3.5)