ミスティック・リバー

Mystic River


ブラッド・ワーク」でまんまと騙されたので、今回はひっかからないようにだけ集中して見てた。おかげで人間ドラマの深さを感じなかったのかも。
今回も犯人は意外なところにいたが、皮肉な運命のつながりはあっても、少年時代の忌まわしい事件と直接絡んでないのが惜しいところ。宣伝では「スタンド・バイ・ミー」を引き合いに出していたが、その後の3人はバラバラに生活していて強い絆がないのも痛い。

中盤は犯人像をめぐって二転三転するが、サスペンスを持続するために主要人物の心情や過去が省かれた感がある。その分を3人がトラウマを克服しようとする成長期の回想シーンとかに充てて欲しかった。

イーストウッドは、良く言えば正統派で実直。いまどきの派手な映像表現に慣らされた目にはなんとも物足りないまっとうな演出。しかし、ジミーの後ろ姿で何度も襟足の黒いものが気になったが、終盤でそれが十字架として姿をあらわすところは唸りました。

でもラストに、その十字架の重さをひしひしと感じさせるようなセンシティブで感傷的な締めくくりを期待したんですが。なんだか淡白!奥さんはライフル協会のヘストンみたいなこと言うし。

さすがはイーストウッドと言いたいが、賞取りレースとかで騒がれてるような大傑作には思えなかった。
俳優陣の演技(特にT・ロビンス)には大満足。
(☆4つ)